のらくろ隊紀元前のお話である。
俗に言う人生暗黒の時代かもしれない。
何かを求め、何かを探しに旅発つ日本男子があまりに広大な中国大陸で、体験する物語である。
境遇は各人異なるが、根底にあるものは同じだったかもしれない。
ここで登場人物を紹介しよう。
職を辞めひとり中国に救いを求め、日本を離れたシロー。
同じく職を辞め、友と共に3人で中国を訪れたいちろ〜。
最後はげんぞう。学生である彼は漠然と過ごす日々から脱却し、自分を見つめ直すために中国へ旅立つ。
3人に共通していたのは、初めての外国であるということである。
一般的に中国を旅行するパターンとして時計回り、反時計回りの2種に大別される。
そして、上陸方法は2つ。飛行機か船である。船は上海に着く。
シローは船で上海へ、そして時計回りのルートを選択する。
いちろ〜は飛行機で北京へ、そして反時計回りのルート。
げんぞうは船で上海に、そして反時計回りのルートを選択する。
3人はそれぞれ、初めての外国・中国で三者三様の体験をしながら、先へ先へと進んでいく。
いつの日か友と別れたいちろ〜は一人になり、シルクロードの町・ウルムチにたどり着く。
そして、北京で荷物を盗まれ手ぶらになったげんぞうが着の身着のままの格好でウルムチに到着するのが、時に10月9日であった。
その夜、賓館で同室(ドミトリー)である2人は出会い、お互いの人生を大きく変えることになる。
ここまでお互いに一人旅を始め1ヶ月が経過しており、その間に出会った日本人は数知れず。
だのに、いちろ〜とげんぞうはこれからの2ヶ月近くを共に過ごすことになろうとは、このときは思いもよらなかったのである。
2人の旅はこうして始まった。いちろ〜は中国シルクロード国境の町・カシュガルに、げんぞうはチベット自治区の首都ラサにどうしても行きたかった。
そこでお互いがお互いの町に行くという条件で、まずはげんぞうがいちろ〜と共にカシュガルへ同行することになる。
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3泊4日の地獄バスの末、たどり着いた地・カシュガルに1週間滞在し、ウルムチに戻り敦煌へ。
この間、2人は香港人・BENやフランス人・フレドリック、日本語堪能なアメリカ人・エリックさんらと出会い別れをする。
そしていよいよラサである。が、しかしこの時チベット自治区全体で漢民族(中国政府)とチベット人との間で対立が暴動・鎮圧にまで発展し、チベット自治区全体が一般人完全封鎖となってしまっていたのである。もちろん外国人の彼らなど行ける訳がない。
そこで急遽、ラサを諦め雲南省はビルマ・ラオス国境の町・西双版納を目的地に変更するげんぞうであった。もちろんいちろ〜も連れて行くのはあたりまえ。
西双版納の最奥地・カンランパから景洪へ戻るメコン川の船の上にいちろ〜とげんぞうはいた。11月9日の昼であった。
その船上で、空腹で今にも倒れてしまいそうな日本人をいちろ〜が見つけた。そして、いちろ〜が持っていたさとうきびを手渡すと彼は一心不乱にカジカジとカジリはじめ、数分後初めてにっこりと笑みを浮かべてきたのであった。その日本人こそシロー・現のらくろ隊隊長その人であった。
その夜、彼ら3人は景洪の飯店で他の日本人4名、計7名で食事をするのであった。
数日後、3人は西双版納・景洪のホテルの一室(ドミトリー)で深夜、中国少数民族の衣装に着替え、義兄弟の契りをかわすのであった。
なぜ義兄弟の契りを交わすのかは誰も知らなかった。きっと3人とも中国が3ヶ月近くにもなり疲れていたんでしょうね。
とりあえず、げんぞうが仙人になれるという霊峰・泰山にも登っていることから「三蔵法師×げんぞう≒劉備玄徳」と決まり、いちろ〜が武道に通じ大食漢であり、片やシローは博識な一面もあるため、いちろ〜は「張飛翼徳」にシローは「関羽雲長」に落ち着く。
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3人は中国において義兄弟の契りをかわし、関羽と張飛は玄徳を兄者と敬い補佐していくと誓い、ニッポンでの再開を約束するのであった。